夏の思い出! [花]
ハスの花が咲き始めました。ハスは古くから神聖な存在とされ、仏教と深いかかわりをもつ植物です。
不浄である泥の中から茎を伸ばし、美しい花を咲かせるハスは、仏教が理想とするあり方とされ、極楽浄土に最もふさわしい花とされています。また、仏像は蓮華座と呼ばれるハスの花の台座に座っていますし、ハスの花を挿した水差しを持つ仏像もあります。さらに香炉などの仏具もハスの花の形をしていますし、お供え物の砂糖菓子もハスの花の形をしたものがあります。仏教にとってハスはとても大切な植物です。
泥の中から花を咲かせるために、ハスには工夫があります。泥の中に伸びるハスの地下茎が、「蓮根」です、レンコンには穴が空いていることから、「見通しが効く」と縁起が良いとされて、正月やお祝い事の料理としてよく食べられています。この、レンコンにあいている穴は、水の上から泥の下へ空気を運ぶためのもの。そのため、レンコンの穴は水の上にある葉とつながっています。ハスの葉の柄にある穴の数は、4個ですが、泥の中にあるレンコンには、中央に大きな穴が1つあり、そのまわりに9つ前後の穴があります。泥の中のレンコンの方が穴の数が多いのは、泥につぶされて穴がふさがっても、他の穴が空気を通すように工夫されているためです。汚れた泥の中から伸びているのに、この世のものとは思えない美しい花を咲かせるハスの花は、まさに俗世を越えた存在として貴ばれていました。ハスは化石として発見されるほど古くからある植物です。そのため、ハスの花には古代の植物の特徴が随所に見られるのです。.